道路、鉄道、バス、飛行機、住宅、観光――。私たちが毎日当たり前のように使っているものの多くに関わっているのが、「国土交通省(こくどこうつうしょう)」です。略して「国交省(こっこうしょう)」とも呼ばれます。
表に出ることは少なくても、国交省の仕事は暮らしの土台そのもの。今回は、そんな“インフラの守り手”の役割をやさしく見ていきましょう。
国交省の基本的な役割
国土交通省は、名前の通り「国土」と「交通」に関する政策を担当しています。もう少し具体的に言うと、次のような仕事があります。
- 道路・鉄道・空港・港などの整備
- 災害に強いまちづくり
- 住宅・不動産のルールづくり
- 観光や地域振興の推進
- 気象情報や防災体制の運営(気象庁)
つまり、人とものが安全に移動できる社会をつくることが、国交省の使命なのです。
国交省の仕事は、私たちが“移動できること”“住めること”“安心して暮らせること”を支える見えないインフラです。
道路・鉄道・交通の整備
私たちが通勤や通学で使う道路や電車は、国交省の計画によって整備・管理されています。
たとえば、高速道路の建設、新幹線のルート決定、空港の運営など――どれも「安全性」や「経済性」「環境への配慮」を考えながら進められています。
道路を造るだけではなく、「どの地域にどんな交通手段が必要か」を考える“交通政策”全体を設計しているのが国交省です。
災害に強いまちづくり
日本は地震・台風・豪雨など、自然災害の多い国です。国交省は、こうした災害から命と暮らしを守るための仕組みを整えています。
- ダムや堤防による洪水対策
- 土砂災害警戒区域の指定
- 被災地の復旧・復興支援
災害は「防ぐ」ことが難しくても、「減らす」ことはできる――。そのための仕組みを設計しているのが国交省です。
また、災害時には自衛隊や消防庁などと連携し、道路や橋の早期復旧を行うなど、国民の安全を守る最前線にも立ちます。
住宅とまちづくりの政策
国交省は「住まい」にも深く関わっています。住宅ローン減税の制度、耐震基準の見直し、空き家対策などもこの省が所管しています。
さらに、地域ごとの都市計画や再開発も担当。人口減少時代のまちづくりでは、「コンパクトシティ」や「公共交通の利便性向上」など、暮らしの質を保つ工夫が求められています。
住宅政策は“家”だけでなく、“まち全体の暮らし方”をデザインすることでもあります。
観光・地域振興の推進
「観光立国」を掲げる日本にとって、国交省は観光政策の中心的存在でもあります。外国人観光客の受け入れ環境の整備、観光地の魅力発信、交通アクセスの改善などを進めています。
また、過疎地域や離島など“人の流れが少ない場所”への支援も国交省の役割。地域交通や空港の維持を通じて、全国どこにいても暮らせる環境を目指しています。
観光は「経済の活性化」だけでなく、「地域の文化を次世代につなぐ」役割も持っています。
気象庁・運輸安全委員会などの外局
国交省には、いくつかの“外局”と呼ばれる組織があり、その中には私たちに馴染み深いものもあります。
- 気象庁:天気予報・地震速報・気候データの提供
- 運輸安全委員会:航空機・鉄道・船舶などの事故調査
これらの機関は、私たちの安全と安心を守るために欠かせない存在です。
国交省のこれから
近年の国交省は、「防災・減災」「カーボンニュートラル」「地方創生」といった課題に取り組んでいます。
老朽化したインフラをどう維持・更新するか。気候変動にどう対応するか。観光需要の回復をどう支えるか。――これらすべてが国交省の大きなテーマです。
国交省のサイトでは「防災情報」「まちづくり白書」など、一般向け資料も公開されています。身近なテーマから見てみるのもおすすめです。
まとめ
国土交通省は、まちと人の“基盤”を支える省庁です。道路や鉄道を整えるだけでなく、災害対策や住宅政策、観光振興まで、幅広い分野を横断しています。
次回は、子育て支援や児童福祉を一体的に扱う「子ども家庭庁」について、どんな取り組みが行われているのかを見ていきましょう。