私たちの暮らしに関わるルールや仕組みを決めたり、実際に動かしているのが「国の行政機関」です。ニュースでよく耳にする「財務省」や「国土交通省」などは、その中の一部。これらをまとめて「省庁(しょうちょう)」と呼びます。
でも、いざ聞かれると――「何をしてるところなの?」と、説明に迷ってしまう人も多いはず。今回はそんな“省庁の全体像”を、最新の情報に基づいて見てみましょう。
内閣と省庁の関係
国の行政を動かすトップは「内閣」です。総理大臣を中心に、各分野を担当する大臣が集まり、会議で方針を決めています。
そして、その方針を実際に動かす現場が「各府省庁」です。たとえば、教育のことは文部科学省、病院や年金のことは厚生労働省、といったように、それぞれが得意分野を担当しています。
「内閣」は国の“司令塔”。「省庁」はその指令を現場で実行する“チーム”のような関係です。
現在の日本にある「府省庁」一覧(2025年時点)
ここでは、それぞれのざっくりした役割を紹介します。
内閣府
内閣全体を支える“まとめ役”。経済政策、防災、少子化対策、地方創生など、複数の省庁にまたがる課題を調整します。
デジタル庁(外局)
2021年に新設された庁。行政のデジタル化を進め、マイナンバーやオンライン手続きの基盤整備を担当します。
「紙からデジタルへ」を推進するのがデジタル庁。行政手続きの“使いやすさ”を高めるのが目的です。
子ども家庭庁(外局)
2023年に誕生した庁。子育て支援や児童福祉、教育・医療など、子どもを取り巻く政策を一体的に進めます。
「こどもまんなか社会」を掲げ、縦割りを超えて支援をまとめるのが特徴です。
総務省
自治体や選挙、通信などを担当。地方の行政を支えつつ、テレビ・ネットといった情報インフラも扱います。
法務省
法律の運用を担う機関。裁判や刑務所、国籍や入国管理など、法のもとでの秩序を守ります。
外務省
外交や国際関係を担当。世界各国との交渉や、海外で困った日本人を支援する仕事も行います。
財務省
国の“お金の番人”。税金の管理や予算の編成、国債の発行などを通じて、日本経済を支えます。
文部科学省(文科省)
教育・科学・文化・スポーツを担当。学校制度や教科書、研究予算、オリンピック関連などもここが所管です。
厚生労働省(厚労省)
医療・年金・雇用・福祉を担当。病院、保険、介護など、生活に直結する分野が多いのが特徴です。
農林水産省(農水省)
食べものの供給を守る省。農業・林業・漁業を通じて、安全で安定した食生活を支えます。
経済産業省(経産省)
企業活動やエネルギー政策を扱う。産業の発展やスタートアップ支援、脱炭素などの課題にも関わります。
国土交通省(国交省)
道路・鉄道・空港・住宅など、インフラの整備と安全を担う省。災害時の復旧や観光政策も含まれます。
環境省
地球温暖化対策やリサイクル、自然保護を担当。気候変動や脱炭素社会など、地球規模の課題に向き合います。
防衛省
自衛隊の運用を通じて、日本の安全を守る省。災害派遣など、国内での活動も重要な仕事です。
どうしてこんなに分かれているの?
一見すると、「似たような仕事が多くない?」と思うかもしれません。けれど、それぞれの分野には専門知識が必要で、国全体の仕事を分担しているのです。
ただし、省庁間での連携がうまくいかないと、“縦割り行政”と呼ばれる問題が起こることも。
たとえば、子育て支援なら「教育(文科省)」「医療(厚労省)」「経済(内閣府・子ども家庭庁)」が関わることになります。だからこそ、調整役である内閣府が重要なんですね。
省庁の決めごとは、誰が決めるの?
最終的な方針は「国会での法律」や「内閣の閣議」で決まります。省庁はその決定をもとに、具体的な制度や運用ルールを作っています。
つまり、国会が“ルールブックをつくる場所”、省庁は“そのルールを実際に動かす現場”というイメージです。
私たちの暮らしと省庁の距離
新しい制度や補助金、災害対策など――ニュースの裏には、たいていどこかの省庁が関わっています。
- 最低賃金の改定 → 厚生労働省
- ガソリン価格の補助 → 経済産業省
- マイナンバー制度 → デジタル庁
- 子育て支援金制度 → 子ども家庭庁
見えづらいけれど、日々の暮らしのあちこちで、省庁の仕事は動いているのです。
次にニュースを見たとき、「この話題、どの省庁が担当かな?」と考えてみると、政治が少し身近に感じられるかもしれません。
これからの記事について
今後は、それぞれの省庁をもう少し掘り下げて紹介していきます。たとえば、
- 財務省:お金の流れをどう管理している?
- 国交省:災害に強いまちづくりとは?
- デジタル庁:行政DXはどう進んでいる?
- 子ども家庭庁:子育て政策の新しい形とは?
それぞれの政策が、どんな形で私たちの生活に関係しているのか。少しずつ、“となりの話”として見ていけたらと思います。