テレビのニュースでよく聞く「国会」。スーツ姿の人たちが話し合っている映像を見たことはあっても、実際に何をしているのか、なんとなくしか分からないという人も多いはず。
でも国会は、私たちの生活に関わる“ルールを作る場所”。いわば「社会の取り扱い説明書」をつくる会議です。今回は、国会がどんな仕組みで動いているのかを、身近な例を交えながら見ていきましょう。
国会は「日本のルール工場」
国会のいちばん大きな役割は、法律をつくること(立法)です。法律とは、社会のルールを決めるもの。たとえば「学校教育法」や「労働基準法」など、私たちの暮らしの中にある“あたりまえ”の多くが、国会で話し合って決められています。
法律をつくるときには、まず「法案」という“ルールのたたき台”が作られます。法案は主に2つのルートから出されます。
- 内閣提出法案:政府(大臣たち)が出す法案。予算や制度変更などが多い。
- 議員立法:国会議員が出す法案。社会問題や新しい課題に対応するために提案されることが多いです。
立法(りっぽう):社会のルール=法律をつくること。国会の最も大事な仕事のひとつです。
法律ができるまでの流れ
法律は、ある日突然できるわけではありません。ざっくり言うと、こんなステップを踏みます。
- 法案を作る(内閣や議員が提案)
- 国会で審議(話し合い)
- 衆議院と参議院の両方で可決
- 天皇の「公布(こうふ)」によって法律として成立
審議では、委員会と呼ばれる小さなグループで詳しく話し合います。専門家を呼んだり、現場の声を聞いたりして、内容を一つひとつ確認していきます。そのうえで、本会議で「賛成・反対」の採決が行われます。
「衆議院」と「参議院」は、会社でいえば“ダブルチェックの仕組み”のようなもの。どちらか一方で決めるのではなく、二つの目で慎重にルールを確認しています。
国会は“話し合いの場”だけじゃない
国会では、法律をつくるだけでなく、国の予算を決めたり、政府の仕事をチェックしたりもします。これを「国政調査権(こくせいちょうさけん)」といいます。
たとえばニュースで見る「予算委員会の質疑」。これは、政府の使うお金の内容や方針を、野党の議員が質問して確かめている場面です。税金の使い道や政策の効果を見直すための大切なプロセスなんです。
国会の役割は「対立」ではなく「監視とバランス」。意見がぶつかるのは悪いことではなく、より良いルールを探すための議論でもあります。
また、国会では「内閣総理大臣を指名する」ことも重要な役割のひとつ。選挙のあと、国民が選んだ議員の多数を占める政党が、首相を決めていきます。つまり、私たちが投票で選ぶ1票が、間接的に「次のリーダー」を決めているんです。
ニュースの国会中継、どう見ればいい?
国会中継を見ると、言い合いばかりしているように見えるかもしれません。でもその背景には、「どうすれば良い社会になるか」という真剣な意見のぶつかり合いがあります。
もちろん中にはパフォーマンス的な場面もありますが、それも含めて国会は「公開の議論の場」。国民が見られる場所で政策を話し合うことで、政治の透明性を保っているのです。
もしニュースを見て難しく感じたら、「この話題、どんな課題を解決しようとしてるのかな?」と考えてみてください。対立の裏にある“目的”を見つけると、政治が少しだけ身近に感じられます。
まとめ:国会は、暮らしの「裏側」で動いている
国会は、遠い世界の話ではなく、私たちの生活を形づくる“舞台裏”のような場所です。毎日のルールや仕組みがどのように決まっていくのかを知ることは、社会をよりよくする第一歩。
「政治に詳しくないから」と遠ざける必要はありません。ニュースで国会が映ったら、「あ、今ルールを話し合ってるんだな」と思ってみるだけでも十分です。
そうやって少しずつ仕組みを理解していくことで、政治は“知らない誰かのもの”から、“自分のとなりにあるもの”に変わっていきます。