「財務省(ざいむしょう)」という名前、ニュースでよく聞くけれど、実際に何をしているのかは意外と知られていません。税金を集めたり、お金を配ったり……というイメージはあっても、その中身はとても複雑です。
でも、ざっくり言えば財務省は、“国のお金の番人”。日本全体の「家計簿」をつけ、限られたお金をどう使うかを決める、まさに国の財布を預かる場所です。
国のお金の流れを見てみよう
国の財政には、大きく「収入」と「支出」があります。
- 収入:主に税金(所得税・消費税・法人税など)
- 支出:教育費・医療・防衛・公共事業など、国の活動に必要なお金
財務省は、この収入と支出のバランスを見ながら、国の予算をつくります。言いかえると、日本という国の“家計簿”を整える役目を担っているのです。
家庭でも「給料(収入)」と「生活費(支出)」を考えるように、国も同じようにお金のやりくりをしています。
予算をつくる“舞台裏”
予算は、毎年の「国家予算案」として国会で議論されます。その準備をするのが財務省の重要な仕事です。
各省庁から「来年度はこれだけ必要です」という要望が集まると、財務省はそれを精査し、限られた財源の中でどう配分するかを検討します。
このとき中心になるのが「主計局(しゅけいきょく)」。各分野の予算を担当するチームがあり、文科省・厚労省・国交省などと交渉を重ねながら、全体の案をまとめます。
予算案は「総理大臣が発表」しますが、実際に中身を練るのは財務省の仕事。裏方として国の運営を支えています。
国債ってなに?
ニュースでよく聞く「国の借金」「国債(こくさい)」という言葉。これも財務省が深く関わっています。
国債とは、国がお金を借りるために発行する“借用書”のようなもの。税金だけでは足りない支出を補うために発行されます。
たとえば、大きな災害復興や高齢化による社会保障費の増加など、すぐに必要なお金をまかなうために使われます。発行した国債は、将来の税金で返す仕組みです。
国債の発行が増えすぎると、“将来の世代への負担”が重くなるという課題もあります。
財務省が抱える悩み
日本の財政は長く「赤字」が続いており、収入よりも支出のほうが多い状況です。少子高齢化により年金や医療などの費用が増える一方、働く世代の人口は減少しています。
このままでは、国の借金が増え続ける――。そのため、財務省は「歳出の見直し」や「税制改革」を通じて、バランスを取り戻そうとしています。
「増税したいから財務省が動く」というより、「国の将来に必要な資金をどう確保するか」を考えているのが本質です。
税金と私たちの暮らし
財務省の仕事は、実はとても身近なところにも関係しています。
- 給料から引かれる所得税
- 買い物をするときの消費税
- タバコやお酒にかかる間接税
これらの税金は、財務省の所管。どの税金をどれくらい取るか、どこに使うか――そうした方針を考えるのも大切な仕事です。
難しいかも知れませんが、税金は「取られるもの」ではなく、「社会をまわすための会費」と考えると、少し見え方が変わるかもしれません。
「財務省=お金を握る省庁」というだけではない
財務省は、単にお金を管理するだけでなく、日本の経済そのものを安定させるための政策も行っています。為替(円の価値)の動きや国際的な経済交渉なども、その一部です。
たとえば、物価が急に上がったり下がったりしないよう、金融政策や国際協調を通じて調整を行うこともあります。表に出ることは少ないけれど、経済の“縁の下の力持ち”なのです。
財務省のこれから
財務省は今、「持続可能な財政運営」が最大のテーマになっています。支出を減らすだけでなく、投資や成長につながる分野にどうお金を回すか――これが新しい時代の課題です。
教育、医療、環境、デジタル化など、どの分野に力を入れるかは、未来の形を左右します。その判断の裏には、いつも財務省の試算や提言があります。
難しいかも知れませんが、税金は「取られるもの」ではなく、「社会をまわすための会費」と考えると、少し見え方が変わるかもしれません。
まとめ
財務省は、国のお金を預かる“お金の番人”。税金を集め、予算をつくり、国の未来を見据えて使い道を考える――そんな仕事をしています。
私たちの給料や買い物に関わる「税金」も、医療や教育に使われる「支出」も、すべて財務省の手の中にあります。
次回は、道路・鉄道・災害対応など、私たちの生活を支える“インフラの守り手”――国土交通省を見ていきましょう。