「このままでいいの?」という素朴な疑問
将来について考えたとき、明るい見通しを持てない若者は少なくありません。働いても生活が楽にならない、将来もらえる年金が不安、子どもを持つ余裕がない。こうした声は、特別なものではなく、日常の会話やSNSの中で当たり前のように聞かれるようになっています。
一方で、「若者が大変なのは昔から同じ」「どの世代も苦労してきた」という意見があるのも事実です。その言葉自体は間違いではありません。しかし、今の若者が感じている苦しさは、本当に個人の努力だけで解決できる問題なのでしょうか。
この記事では、若者が「損をしている」と感じやすい背景を、社会のしくみという視点から整理し、日本の将来について考えていきます。
この記事では特定の世代を批判することを目的としていません。構造として何が起きているのかを一緒に整理するための内容です。
世代間格差が生まれる構造
世代間格差の話で欠かせないのが、日本の人口構造です。少子高齢化が進み、若い世代の人数は年々減っています。一方で、高齢者人口は増え続けています。
社会保障制度は、現役世代が保険料や税金を支え、高齢世代を支援する仕組みです。この制度自体は、支え合いとして非常に重要な役割を果たしてきました。ただし、多くの制度は「人口が増えること」を前提に設計されています。
前提が変わった今、制度は維持されているものの、その負担が現役世代、特に若い世代に集中しやすくなっています。同じ年収でも、税や社会保険料の負担割合が高く、手元に残るお金が少ないと感じる背景には、こうした構造があります。
世代間格差は、誰かの失敗ではなく「時代の変化と制度のズレ」から生まれていることが多いです。
「自己責任」では片づけられない理由
若者の苦しさは、努力不足や意識の問題として語られがちです。しかし、非正規雇用の増加や賃金の伸び悩みなど、個人ではコントロールしづらい要因も多く存在します。
安定した収入や将来設計が描きにくい状況では、結婚や出産、住宅購入といった選択を先送りせざるを得ません。その結果として出生率が下がり、さらに人口構造が歪む。この循環は、個人の問題というより社会全体の問題と言えます。
若者の投票率が低い理由
選挙のたびに話題になるのが、若年層の投票率の低さです。「政治に無関心だから」と一言で片づけられがちですが、実際にはもっと複雑な理由があります。
若者の数が少ない中で、自分たちが投票しても結果は変わらないのではないか。そう感じてしまうと、政治は遠い存在になります。また、制度や政策が難しく感じられ、理解する前に諦めてしまうケースもあります。
投票に参加しない世代の声は、政策に反映されにくくなります。その状態が続くと、世代間の不均衡が固定化されるおそれがあります。
若者の未来は、日本全体の問題
若者が安心して暮らせない社会は、いずれすべての世代に影響します。働き手が減り、社会保障を支える力が弱まれば、制度そのものが立ち行かなくなるからです。
若者の問題を「若者だけのもの」と切り離さず、日本全体の課題として捉える視点が必要です。
30代以上の世代にできること
この構造を変えるために、若者だけに努力を求めるのは現実的ではありません。30代以上の世代が、意識的にできることもあります。
例えば、職場での意思決定において、今の若者が置かれている状況を理解しようとすること。家庭や日常の会話の中で、政治や社会の話題を避けずに共有すること。それだけでも、次の世代が声を上げやすい空気は生まれます。
政治の話は、正解を出す場ではなく、考えを持ち寄る場でもあります。
暮らしと政治を、もう一度つなげて考える
制度は遠い存在に見えますが、私たちの暮らしと密接につながっています。税金、社会保障、働き方、子育て。そのどれもが政治の決定と無関係ではありません。
小さな疑問を持つこと、話してみること、知ろうとすること。それら一つひとつが、社会を少しずつ動かしていきます。
この記事が、暮らしと政治を“つなげて考える”一歩になることを願っています。